いのちのために食べる
ビタミン教室
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不足すると…
都内の食品メーカーで経理事務を担当している鈴木厚子(仮名・32歳)さんは最近、目の疲れに悩んでいます。朝から一日中、パソコンのディスプレイと向き合って仕事をしていることもあって、もともとドライアイになりやすく、視力も衰えたのではないかと気になるようになりました。月末の忙しい時期には肌も乾いて、荒れ気味なのも気になります。決算期をまじかにひかえて風邪も流行する気配。厚子さんは自分では風邪をひきやすいタイプだと思っていますから、心配はつのるばかりです。
知って解決
対策
ビタミンAは「目のビタミン」と言われています。目の表面をおおっているのは涙ですが、涙は三層にわかれています。外側から脂質層、涙液層、ムチン層と言いますが、ムチン層をつくるのがビタミンAに他なりません。ムチン層は角膜と涙を接着させ、目の粘膜の湿潤性を高め、目を乾燥から守る役割を果たします。ビタミンAが不足すると粘膜が乾燥しやすくなってしまうのです。ドライアイになりやすくなり、視力低下も引き起こすことになります。ビタミンAはカラダに「潤い」をもたらすビタミンなのです。呼吸器系統の病気の感染に対して抵抗力をつけるのもビタミンAの重要な役割です。また、成長期にあるお子さんや授乳期のママさんも積極的にとりたいビタミンです。
ビタミンAが不足すると、肌が乾燥しやすくなるし、荒れやすくなります。風邪が季節で言うと冬に多いのは、空気が乾燥しているからですが、ビタミンAの不足は風邪をひきやすい体質にしてしまいます。更に胃腸の粘膜が傷つきやすくなり、ガンにかかりやすくなりますし、髪も傷めば、爪をもろくさせますし、夜盲症を引き起こしてしまうこともあります。夜盲症とは俗に「鳥目」と言われ、夜になると視力が著しく低下して、モノが見えにくくなる病気です。ちなみに発展途上国では年間で約五十万人の子どもたちがビタミンA不足によって失明しています。
ビタミンAには主に動物性食品に含まれるレチノールと体内でビタミンAに転換するカロテンの二種類があります。カロテンには四種類ありますが、野菜に含まれるカロテンのほとんどがβカロテンであり、他のカロテンに比べてビタミンAとしての効力は二倍あります。βカロテンはプロビタミンAとも呼ばれています。

ビタミンAを多く含んだ食べ物をあげてみましょう。

■ レチノール ■
うなぎの肝 鶏レバー 豚レバー 牛レバー 
銀ダラ すじこ たまご 有塩バター

■ βカロテン ■
西洋かぼちゃ 春菊 にんじん 
モロヘイヤ ほうれん草 あしたば にら 

食べ物イラスト
ビタミンAは脂溶性のビタミンです。油によく溶けるのです。βカロテンを多く含んだ緑黄色野菜は油いためにしたり、ドレッシングをかけて食べるというように油脂と一緒に摂取することで体内への吸収をよくします。レチノールとβカロテンが同量になるような取り方が理想です。主に動物性食品に含まれるレチノールは調理に際して加熱すると平均して約20%が失われます。 ビタミンAで注意しなければならないのは過剰摂取です。通常の食事をしていれば、まず過剰摂取の心配はありません。βカロテンは多少とりすぎても、手足が黄色くなるカロテン血症をひきおこすだけですから心配ありません。注意したいのはレチノールを食品ではなくビタミン剤からとりすぎると、頭痛、嘔吐、睡眠障害などをおこすことがあります。また妊娠初期に安全な上限を超えてとり過ぎると、流産や先天異常の発生率が高くなることも忘れてはなりません。成人男女の一日の安全な摂取量の上限は3000mgです。